大道寺友山『武道初心集』について

大道寺友山『武道初心集』 東洋思想
大道寺友山『武道初心集』

『武道初心集』は、江戸時代の武士であり兵法家であった大道寺友山(1639年 – 1730年)が晩年に著した武士道書です。この書物は、武士としての基本的な心構えや日常の修身の要諦を説いたもので、全56項から成り立っています。

『武道初心集』は、儒教的な士道論を基にしており、武士の子弟に対して武士としての心得を懇切に教えています。例えば、「常に死を思い、生をまっとうする」や「勝負の心がまえを忘れるな」といった教えが含まれており、武士が日常生活でどのように行動すべきかを具体的に示しています。

この書物は、同時代に書かれた『葉隠』とよく比較されますが、『葉隠』が過激な表現を多く含むのに対し、『武道初心集』はより道徳的であり、平穏な時代に生きる武士たちに向けた実践的な教えが多く含まれています。例えば、「治世の武士には学問も大切」や「主君のご威光を借りる法」といった項目があり、武士が平時においても自己研鑽を怠らないように促しています。

また、『武道初心集』は1834年に信州松代藩で改編され、44項にまとめられた松代版が出版されました。この松代版は、原著に見られる神道的な表現や戦国武士的な遺習を削除し、治世の武士たちの官僚的・功利的傾向にも厳しい批判を加えています。このようにして、時代の急務とされた士風の刷新を図るための啓蒙書として広く普及しました。

『武道初心集』は、武士道の精神を現代に伝える貴重な資料であり、武士としての生き方や心構えを学ぶ上で非常に重要な書物です。現代のビジネスマンにも通じる教えが多く含まれており、自己啓発やリーダーシップの向上にも役立つ内容となっています。

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