ライプニッツの「完足個体概念」とは

補足 西洋哲学

ライプニッツの「完足個体概念」(かんそくこたいがいねん)は、個体に関するすべての情報を含む包括的な概念です。この概念について、具体例を交えて説明します。

完足個体概念の基本的な考え方

完足個体概念とは、ある個体について真であるすべてのこと、つまりその個体の全ての述語(状態や出来事)を含む概念です[1]。ライプニッツによれば、この概念は神の悟性(対象を判断・理解する能力)の中に永遠に存在しているとされます。

具体例

1. 歴史上の人物の例

ナポレオン・ボナパルト:
ナポレオンの完足個体概念には、以下のような情報がすべて含まれます。

  • 1769年8月15日にコルシカ島で生まれたこと
  • フランス革命後に台頭し、皇帝となったこと
  • 1815年のワーテルローの戦いで敗北したこと
  • 1821年5月5日にセントヘレナ島で死去したこと

これらの事実だけでなく、ナポレオンの人生におけるすべての出来事、思考、行動が含まれます。

2. 日常的な物体の例

特定のりんご:
あるりんごの完足個体概念には、以下のような情報がすべて含まれます。

  • そのりんごの種類(例:ふじ)
  • 木から実った日時
  • 色、形、重さの変化
  • 誰かに食べられる運命

このりんごに関するすべての過去と未来の情報が含まれています。

完足個体概念の特徴

  1. 無限の情報: 完足個体概念は、その個体に関するすべての情報を含むため、無限の述語を持ちます[4]。
  2. 唯一性: 各個体の完足個体概念は、他の個体とは異なる唯一のものです[5]。
  3. 予定調和: ライプニッツは、すべての個体の完足概念が互いに整合的であり、これによって世界の調和が保たれていると考えました[6]。
  4. 決定論的側面: 完足個体概念には、その個体の過去、現在、未来のすべてが含まれているため、ある意味で決定論的な性質を持ちます[1]。

完足個体概念の意義

ライプニッツの完足個体概念は、個体の独自性と世界の調和を説明する試みでした。この概念は、個体の本質と存在、自由意志と決定論の問題など、哲学的に重要な議論を引き起こしました。

完足個体概念は、現代の観点からは直感に反する面もありますが、個体の本質と世界の秩序について深く考察するきっかけを与えてくれる興味深い哲学的概念です。

Citations:
[1] https://cir.nii.ac.jp/crid/1050845762940996224
[2] https://www.jstage.jst.go.jp/article/pawj/22/0/22_17/_pdf/-char/ja
[3] https://note.com/guitardrums/n/n6d87797da770
[4] https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/59161/1/jk13_031.pdf
[5] https://theseus.hatenablog.com/entry/20130307/p1
[6] https://www.seiryo-u.ac.jp/u/research/gakkai/ronbunlib/e_ronsyu_pdf/No126/09_edamura_kenkyuu_126.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました