アリストテレスの「エンテュメーマ」とは

補足 西洋哲学

アリストテレスの「エンテュメーマ」(弁論術的三段論法)は、説得力のある議論を構築するための重要な修辞技法です。この手法は、通常の三段論法の一部を省略することで、聴衆に推論の余地を与え、より効果的な説得を可能にします。

エンテュメーマの特徴

  1. 前提の省略: 通常の三段論法の一部(多くの場合、大前提)が省略されます。
  2. 聴衆の参加: 省略された部分を聴衆が補完することで、説得力が高まります。
  3. 柔軟性: 厳密な論理よりも、蓋然性や一般的な理解に基づいています。

具体例

  1. ソクラテスの例
    「ソクラテスは人間なので死を免れない。」
  • 省略された大前提: すべての人間は死を免れない
  • 小前提: ソクラテスは人間である
  • 結論: ソクラテスは死を免れない
  1. 法廷での例
    「指紋が一致しないのだから、被告は無罪となるべきだ。」
  • 省略された大前提: 指紋が一致するならば被告は有罪となるべき
  • 小前提: 指紋は被告のものではない
  • 結論: 被告は無罪となるべきである
  1. 広告での例
    赤いスポーツカーの上に美女が座っている広告画像
  • 省略された前提: このような魅力的な状況は、この車を所有することで得られる
  • 結論: この車を買うべきである

エンテュメーマの効果

  1. 説得力の向上: 聴衆が自ら結論を導き出すことで、より強い説得効果が生まれます。
  2. 柔軟な解釈: 聴衆は自身の経験や価値観に基づいて省略された部分を解釈できます[2]。
  3. 議論の簡潔化: 全ての前提を明示する必要がないため、議論をより簡潔に進めることができます。
  4. 批判の回避: 省略された前提が明示されないため、直接的な批判を避けやすくなります[4]。

エンテュメーマは、古代ギリシャから現代に至るまで、政治演説、広告、日常会話など、様々な場面で効果的に使用されています。この技法を理解し適切に使用することで、より説得力のある議論を展開することが可能となります。

Citations:
[1] https://researchmap.jp/shogo_takahashi/presentations/15814271/attachment_file.pdf
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%81%E7%95%A5%E4%B8%89%E6%AE%B5%E8%AB%96%E6%B3%95
[3] https://www.weblio.jp/content/%E7%9C%81%E7%95%A5%E4%B8%89%E6%AE%B5%E8%AB%96%E6%B3%95
[4] https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4561_1.php
[5] https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E7%9C%81%E7%95%A5%E4%B8%89%E6%AE%B5%E8%AB%96%E6%B3%95_%E7%9C%81%E7%95%A5%E4%B8%89%E6%AE%B5%E8%AB%96%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
[6] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%81%E8%AB%96%E8%A1%93_(%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%B9)
[7] https://kokushikan.repo.nii.ac.jp/record/6439/files/1343_2389_009_02.pdf
[8] https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/15957/files/7363
[9] https://leeswijzer.hatenadiary.com/entry/20180810/1533869298

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