『三人吉三廓初買』(さんにんきちさくるわのはつがい)は、江戸時代後期の歌舞伎作者である河竹黙阿弥(二代目河竹新七)によって書かれた歌舞伎演目です。1860年(万延元年)1月に江戸の市村座で初演されました[13]。この作品は、「三人吉三」または「三人吉三巴白浪」(さんにんきちさともえのしらなみ)としても知られており、盗賊を主人公とした「白浪物」(しらなみもの)の傑作の一つとされています[3]。
物語の背景
物語の核心には、「庚申丸」(こうしんまる)という名刀が深く関わっています。この刀は、10年前に安森源次兵衛という武士が将軍から預かっていましたが、盗賊に盗まれてしまいます。その結果、安森は切腹し、安森家は断絶となりました[3]。
主要登場人物
物語の中心となるのは、同じ「吉三」という名を持つ3人の盗賊です:
- お坊吉三:武家出身だが、のちに盗賊となった人物
- お嬢吉三:女装の旅役者姿で盗みを働く男性
- 和尚吉三:出家したが、盗賊として生きる人物[3]
あらすじ
序幕:大川端庚申塚の場
物語は、江戸本町の小道具商木屋文蔵の手代十三郎が、安森家から盗まれた庚申丸の短刀を百両で売り、その金を持って向島柳原で夜鷹のおとせと遊んだことから始まります。しかし、喧嘩騒ぎに巻き込まれ、百両を落としてしまいます[13]。
おとせが百両を十三郎に届けようとする途中、大川端(隅田川の湖畔)でお嬢吉三に襲われ、金を奪われます。その様子を見ていたお坊吉三が現れ、お嬢吉三と争いになります。そこへ和尚吉三が仲裁に入り、3人は義兄弟の契りを結びます[13]。
中盤:因果関係の明らかになる場面
物語が進むにつれ、登場人物たちの複雑な因果関係が明らかになっていきます:
- おとせと十三郎は実は双子の兄妹であり、その父親は土左衛門伝吉です。
- 伝吉は過去に庚申丸を盗んだ盗賊でしたが、改心して善行を積んでいました。
- お坊吉三は、安森家の息子で、家が断絶したことで浪人となり盗賊になった人物です。
- お嬢吉三は、十三郎を育てた八百屋久兵衛の実の子で、幼い頃に誘拐され、女形として育てられました[3]。
終盤:悲劇的な結末
物語は悲劇的な展開を見せます:
- お坊吉三が知らずに伝吉(和尚吉三の父)を殺してしまいます。
- 和尚吉三は、おとせと十三郎が兄妹であることを知り、この忌まわしい事実を明かさぬまま2人を殺して差し出そうとします。
- 最終的に、三人吉三は捕り手に囲まれ、互いに差し違えて死んでいきます[13]。
作品の特徴
『三人吉三廓初買』には、複雑な人間関係と因果の連鎖が描かれています。親の世代の行為が子の世代に影響を及ぼし、悲劇を生み出すという「親の因果が子に報う」というテーマが強く表れています[3]。
また、作品には多くの伏線が張られており、「庚申」という言葉にも意味が込められています。初演された1860年は60年に1度の庚申(かのえさる、こうしん)の年であり、庚申の宵に生まれた子は盗癖があるという言い伝えを基に、3人の盗賊キャラクターが生み出されています[3]。
現代での上演
現在では、全7幕13場という長編の原作のうち、主に3人の吉三が出会う序幕の「大川端庚申塚の場」を中心に上演されることが多くなっています。この場面には、お嬢吉三の「こいつぁ春から縁起がいいわえ」という七五調の名セリフがあり、注目されています[3]。
『三人吉三廓初買』は、複雑な人間関係と因果応報のテーマ、そして盗賊たちの義理と人情を描いた作品として、今日も歌舞伎の名作として高く評価されています。
Citations:
- https://www.arc.ritsumei.ac.jp/artwiki/index.php/%E4%B8%89%E4%BA%BA%E5%90%89%E4%B8%89%E5%BB%93%E5%88%9D%E8%B2%B7
- https://note.com/jolly_jacana651/n/n5e262f8bfb06
- https://www.touken-world.jp/tips/7289/
- https://www.weblio.jp/content/%E4%B8%89%E4%BA%BA%E5%90%89%E4%B8%89%E5%BB%93%E5%88%9D%E8%B2%B7
- https://jstages.com/2024/09/tour-to-discover-%E3%81%A7%E3%80%8C%E4%B8%89%E4%BA%BA%E5%90%89%E4%B8%89%E5%BB%93%E5%88%9D%E8%B2%B7%E3%80%8D%E3%82%92%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%86/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BA%BA%E5%90%89%E4%B8%89%E5%BB%93%E5%88%9D%E8%B2%B7
- https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc17/sakuhin/d3/index.html
- https://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/kabuki/jp/play/play10.html
- https://jp-culture.jp/sanninkichisa/
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- http://www.eonet.ne.jp/~jawa/kabuki/enmoku/sanninkitisa.html
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- https://www.sankei.com/article/20240830-YALJDQJDPJLAXLESVHEQ67D3SU/
- https://note.com/lively_slowly248/n/n5d985ce27d91
- https://enbutown.com/joho/2024/09/16/geigeki-performance-sanninkitisa/
- https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b204259.html
- https://www.mpac.jp/event/40549/
- https://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/662/
- https://bookmeter.com/books/178918
- https://kinoshita-kabuki.org/2020/05/30/7638


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