スティーヴンスン『南海千一夜物語』について

スティーヴンスン『南海千一夜物語』 英米文学
スティーヴンスン『南海千一夜物語』

ロバート・ルイス・スティーヴンソン(Robert Louis Stevenson、1850年 – 1894年)の『南海千一夜物語』(Island Nights’ Entertainments)は、1893年に出版された短編集です。この作品は、スティーヴンソンが南太平洋の島々での経験を基に執筆したもので、3つの物語から構成されています。

収録作品

  1. 「ファレサの浜」(The Beach of Falesa)
  2. 「びんの小鬼」(The Bottle Imp)
  3. 「声の島」(The Isle of Voices)

各作品の概要

「ファレサの浜」
この物語は、イギリス人貿易商ジョン・ウィルトシャーが南太平洋の孤島にやってくる様子から始まります。島には数人の白人がおり、その中でも最も魅力的なのが同じ貿易商のケースです。ケースは友好的に振る舞い、ウィルトシャーのために現地の美女ウマとの結婚を取り計らいます。しかし、ウマにはタブーがあり、それが原因で現地の人々がウィルトシャーの店から遠ざかってしまいます。実はこれらすべてが、操り人形師のように島の首長たちを悪魔の話で恐れさせているケースの仕業だったのです。

この作品は、植民地主義、宗教、愛の力といった重要なテーマを探求しており、リアリズムに富んだ描写が特徴的です。物語は緻密なペースで展開され、クライマックスに向けてスリリングな冒険譚へと変化していきます。

「びんの小鬼」
この物語は、ドイツの古い伝説からアイデアを得たと言われています。イギリスで発表された後、宣教師によってサモア語に翻訳され、サモアの新聞に掲載されると発行部数が急増しました。サモアの人々は、スティーヴンソン夫妻が彼らを手厚くもてなすのを見て、この小説に登場する魔法の瓶のおかげで豊かな暮らしができるのだと信じていたそうです。

物語は願いを叶えてくれる魔法の瓶をめぐる古典的なテーマを扱っていますが、スティーヴンソンが選んだ舞台設定と明快な文体によって、同種の物語を超越した作品となっています。

「声の島」
この物語は、食人族の島に囚われた男の物語です。大変印象的なシーンがあり、読者の記憶に残る作品となっています。

物語の主人公ケオラは、魔法の葉を使って世界中の魔法使いがお金を集める不思議な島に迷い込みます。島では小さな炎が現れては消え、奇妙な声が聞こえます。ケオラは島民たちに魔法の葉のある木を切り倒すよう助言しますが、それが予想外の結果を招きます。

作品の特徴

『南海千一夜物語』は、スティーヴンソンの南太平洋での経験が色濃く反映された作品です。彼は1888年にマルキーズ諸島のヌク・ヒバ島、パウモトゥ諸島、ギルバート諸島を訪れており、これらの経験が作品の舞台設定や雰囲気に大きな影響を与えています。

この短編集は、孤立、文化の衝突、帰属意識の探求といったテーマを扱っており、異文化間の交流や理解の難しさを鮮やかに描き出しています。

スティーヴンソンの明快な文体と豊かな想像力によって、これらの物語は古典的なホラーやファンタジーの要素を持ちながらも、エキゾチックな舞台設定と濃厚な雰囲気を醸し出しています。

『南海千一夜物語』は、スティーヴンソンの晩年の作品であり、1894年の彼の死の直前に完成した最後の作品の一つとなりました。この作品集は、彼の文学的才能の集大成とも言える、魅力的で印象深い短編集となっています。

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