ソーントン・ワイルダー(Thornton Niven Wilder、1897年 – 1975年)の小説『サン・ルイス・レイ橋』(The Bridge of San Luis Rey)は、1927年に発表され、1928年にピューリッツァー賞を受賞した作品です。この物語は、18世紀初頭のペルーを舞台に、突如として起きた悲劇的な出来事とその影響を描いています。
物語の概要
1714年7月20日正午、ペルーのリマ近郊にあるサン・ルイス・レイ橋が突然崩落し、5人の人々が命を落としました。この事故を目撃したフランシスコ会の修道士ジュニパーは、なぜこの5人が選ばれたのかという疑問を抱き、神の意志を探るべく調査を開始します。
主要な登場人物
- モンテマヨール侯爵夫人(ドニャ・マリア):スペインに嫁いだ娘への執着が強い貴族の女性
- ペピータ:侯爵夫人の侍女で、修道院で育った孤児
- エステバン:双子の兄弟の一人で、兄弟を失った後、深い悲しみに苦しむ
- アンクル・ピオ:劇場主で、女優ペリチョーレを溺愛している
- ハイメ:ペリチョーレの息子
物語の展開
ジュニパー修道士は6年間にわたり、5人の犠牲者の生涯について詳細な調査を行い、膨大な資料を集めます。彼は、この悲劇が神の意志によるものであることを科学的に証明しようと試みます。
物語は、各犠牲者の人生と、彼らがどのようにしてその運命的な日に橋を渡ることになったのかを描きます。モンテマヨール侯爵夫人の娘への複雑な愛情、エステバンの兄弟の死による深い悲しみ、アンクル・ピオとペリチョーレの関係など、それぞれの人生が詳細に描かれています。
テーマと結末
作品全体を通じて、愛、運命、信仰、そして人生の意味といったテーマが探求されています。ジュニパー修道士の調査は、結局のところ明確な答えを見出すことはできませんでしたが、彼の著作は異端とされ、彼自身も火刑に処されてしまいます。
物語の最後では、サンタ・マリア・ロサ・デ・ラス・ロサス修道院の院長が、愛こそが生者と死者の世界をつなぐ唯一の橋であり、生きることの意味であると悟ります。
『サン・ルイス・レイ橋』は、人間の運命と神の意志の関係、そして人生における愛の重要性を深く考察した作品として、現代でも高く評価されています。ワイルダーの洞察力に富んだ文体と、複雑に絡み合う人物たちの物語は、読者に深い感動と思索をもたらす傑作となっています。


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