カールレ・クローン(Kaarle Krohn)が提唱した地理歴史的方法は、民俗学、特に民間文芸の研究において重要な役割を果たした方法論です。この方法は、フォークロアの起源と伝播を時間的・空間的に追跡することを目的としています[1][4]。
地理歴史的方法の特徴
- データの収集と分類
- クローンは1万8000を超える膨大なフィンランドの民間文芸や歌謡を収集しました[5]。
- 収集されたデータは、類似性に基づいて分類され、タイプ別に整理されました。
- 地理的分布の分析
- フォークロアの各タイプの地理的分布を調査し、地図上にマッピングしました。
- これにより、伝承の伝播経路を視覚化することが可能になりました。
- 時間的変化の追跡
- 同じタイプの伝承の異なるバージョンを比較し、時間の経過に伴う変化を分析しました。
- この分析により、伝承の「原型」(Urform)を推定することを試みました[4]。
- 文化的コンテキストの考慮
- フォークロアの伝播を、より広い文化的な流れの中で理解しようとしました。
- アンダーソンは、フォークロアの伝播経路が「一般的な文化の経路」と一致すると主張しました[4]。
具体例:チェーンレターの研究
ウォルター・アンダーソンによるチェーンレターの研究は、地理歴史的方法の適用例として挙げられます[4]。
- データ収集: アンダーソンは、エストニアのフォークロアアーカイブだけでなく、国際的な出版物からもチェーンレターのテキストを収集しました。
- タイプ分類: 収集されたチェーンレターを類型化し、「エストニアで確認されたチェーンレターのタイプ」を特定しました。
- 地理的分析: チェーンレターに記載された送信者のリストを利用して、レターの地理的な伝播経路を推定しました。
- 時間的分析: レターの内容や形式の変化を時系列で追跡し、その進化を分析しました。
この方法により、チェーンレターの起源や伝播経路、変化の過程を科学的に分析することが可能になりました[4]。
地理歴史的方法は、20世紀初頭の民俗学研究に大きな影響を与え、フォークロアの起源と伝播に関する客観的で実証的なアプローチを提供しました[4]。しかし、後の研究者たちによって、この方法の限界も指摘されるようになり、現代の民俗学ではより多角的なアプローチが採用されています。
Citations:
[1] https://kotobank.jp/word/%E3%81%B5%E3%81%84%E3%82%93%E3%82%89%E3%82%93%E3%81%A9%E5%AD%A6%E6%B4%BE-1200261
[2] https://utpress.utexas.edu/9780292724327/folklore-methodology/
[3] http://www2.kokugakuin.ac.jp/hisgeo/JPwhat.html
[4] https://ojs.utlib.ee/index.php/JEF/article/download/22565/17110/30739
[5] https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784003422311
[6] https://www.academia.edu/5532776/Revisiting_the_Historical_Geographic_Method_s_
[7] https://www.researchgate.net/publication/297404549_Revisiting_the_Historical-Geographic_Methods
[8] https://ko-sho.org/download/K_008/SFNRJ_K_008-01.pdf
[9] https://en.wikipedia.org/wiki/Kaarle_Krohn
[10] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8D



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