アンドレ・ジイド『続コンゴ紀行 -チャド湖より還る-』について

アンドレ・ジイド『続コンゴ紀行 -チャド湖より還る-』 フランス文学
アンドレ・ジイド『続コンゴ紀行 -チャド湖より還る-』

アンドレ・ジッド(André Paul Guillaume Gide、1869年 – 1951年)の『続コンゴ紀行 -チャド湖より還る-』(Le Retour du Tchad)は、1928年にガリマール社から出版された旅行記です[10]。この作品は、前年に出版された『コンゴ紀行』(Voyage au Congo)の続編として位置付けられています[2][10]。

旅の概要

ジッドの旅は1926年2月から5月にかけて行われました[6]。当時のフランス領赤道アフリカ地方を巡る旅で、主にチャドとカメルーンを訪れています[10]。

旅程は以下のようになっています:

  1. フォール・ラミー(現在のンジャメナ、チャド)から出発[10]
  2. ロゴネ川をボートで遡上[10]
  3. カメルーン北部を徒歩で移動[10]
  4. ヤウンデ(カメルーン)に到着[10]
  5. ドゥアラ(カメルーン)で旅を終える[10]

旅の目的と内容

当初、ジッドの旅の目的はフランス政府から依頼された森林調査でした[5]。しかし、旅が進むにつれて、植民地での特許会社による現地住民の非人道的な扱いに関心を向けるようになります[5]。

『続コンゴ紀行』には、以下のような内容が含まれています:

  1. 珍しい動植物をはじめとする自然描写[6][7]
  2. 現地の風俗や文化の観察[5]
  3. 植民地行政に対する批判的な視点[5]
  4. 旅の途中で読んだ本の感想[5]

作品の特徴と意義

この作品の大きな魅力の一つは、美しい自然描写の文章です[6][7]。ジッドは蝶を捕まえたり、カメレオンやナマケモノを観察したりしており、その様子が生き生きと描かれています[5]。

しかし、『続コンゴ紀行』の最も重要な意義は、ジッドの思想的転換点を示している点にあります[5][6]。この旅を通じて、ジッドは自己の内面の道徳問題から、周囲の社会問題へと関心を移していきました[6][7]。

特に、植民地での現地住民の扱いに対する批判は、当時大きな反響を呼びました[3]。ジッドの告発は、1930年に特許会社による植民地経営方式が廃止されるきっかけの一つとなりました[5]。

作品の影響と評価

『続コンゴ紀行』は、ジッドの社会問題への目覚めを示す作品として高く評価されています[5]。この旅行をきっかけに、ジッドは共産党に入党するなど、社会主義的な思想に傾倒していきました[5]。

一方で、現代の視点から見ると、ジッドの態度にも植民地主義的な側面があることが指摘されています[5]。現地住民を「保護し、教育しなくてはならない」というジッドの考え方も、当時の典型的な植民地主義的態度の一つと言えるでしょう[5]。

結論

『続コンゴ紀行 -チャド湖より還る-』は、美しい自然描写と鋭い社会批判が共存する複雑な作品です。20世紀前半のアフリカの姿を描き出すと同時に、ヨーロッパ人の植民地に対する態度の変遷を示す重要な文学作品として、今日でも高い評価を受けています[3][5]。

Citations:
[1] https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-02-9782070393107
[2] https://play.google.com/store/books/details/Le_retour_du_Tchad?id=4gVWEAAAQBAJ&hl=ja
[3] https://scielo.org.za/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0041-476X2009000100013
[4] https://muse.jhu.edu/article/721694/summary
[5] https://afric-africa.org/japan/books/reading/books106/
[6] https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784003255896
[7] https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248065.html
[8] https://books.rakuten.co.jp/rk/6720c595b1d33ed282074075ec0c5ab3/
[9] https://www.goodreads.com/book/show/13634810-voyage-au-congo-suivi-de-retour-de-tchad
[10] https://fr.wikipedia.org/wiki/Le_Retour_du_Tchad

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