トマス・ロバート・マルサス(Thomas Robert Malthus、1766年 – 1834年)の『価値尺度論』(The Measure of Value Stated and Illustrated)は、1823年に出版された経済学に関する重要な著作です。この作品では、マルサスが価値の測定と価値尺度に関する彼の考えを詳細に展開しています。
主要な内容
価値の定義
マルサスは、価値を「使用価値」と「交換価値」の2つの主要な意味に分けて考察しています[1]。彼は、経済動態を理解するためには信頼できる価値尺度が不可欠であると主張しました。特に、時間や地域を超えて賃金、給与、全体的な購買力を評価する上で重要だと考えました。
労働価値説
マルサスは、商品の価値を測定する尺度として「支配労働」を採用しました[3]。これは、ある商品が市場で交換できる労働量を指します。マルサスは、この支配労働こそが価値の最も適切な尺度であると主張しました。
有効需要との関連
マルサスは、支配労働と「強度」という意味での有効需要が同じものであるという論理を展開しました[3]。彼によれば、有効需要は需要者が支払ってもいいと思う犠牲のことであり、この犠牲を労働に還元すれば、それはその商品が支配できる労働量に等しくなります。
価格決定メカニズム
マルサスは、アダム・スミスとは異なり、供給と需要を対称的に扱い、両者の一致による市場価格決定のメカニズムを説明しました[3]。彼は、需要を「範囲(extent)」と「強度(intensity)」に分類し、市場価格の決定に関わるのは「強度としての需要」であると主張しました。
他の経済学者との比較
マルサスは、この著作で同時代の経済学者たちの見解を批判的に検討しています[4]。特に、ジャン=バティスト・セー、デイヴィッド・リカード、ジェームズ・ミル、ジョン・ラムゼイ・マカロック、サミュエル・ベイリーらの用語の使用や定義の曖昧さを指摘しました。
『価値尺度論』の位置づけ
この著作は、マルサスの経済思想の発展を示す重要な作品です。『経済学原理』初版では価値尺度として「穀物と労働の間の平均」を採用していましたが、『価値尺度論』では支配労働のみを価値尺度とする立場に移行しました[4]。
影響と評価
マルサスの『価値尺度論』は、当時の経済学の発展に大きな影響を与えました。特に、価値と価格の関係、労働の役割、需要と供給の相互作用に関する彼の洞察は、後の経済学者たちに重要な示唆を与えました。
しかし、マルサスの理論には批判もありました。例えば、技術進歩や社会変化の影響を十分に考慮していないという指摘や、数学的モデルの限界などが挙げられています[5]。
結論
『価値尺度論』は、マルサスの経済思想の核心を示す重要な著作です。価値の測定、労働の役割、市場メカニズムに関する彼の洞察は、経済学の発展に大きく貢献しました。同時に、この著作は当時の経済学者たちとの論争の中心となり、経済学の理論的基礎の形成に重要な役割を果たしました。
Citations:
[1] https://www.gutenberg.org/ebooks/62407
[2] https://www.barnesandnoble.com/w/the-measure-of-value-stated-and-illustrated-thomas-robert-malthus/1117028147
[3] http://www.econ.fukuoka-u.ac.jp/researchcenter/workingpapers/WP-2018-002.pdf
[4] https://doshisha.repo.nii.ac.jp/record/22818/files/034062040001.pdf
[5] https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Robert_Malthus
[6] https://www.tha.de/~harsch/anglica/Chronology/19thC/Malthus/mal_intr.html
[7] https://economics.rikkyo.ac.jp/research/paper/pudcar00000002ed-att/p059-080_76-4.pdf
[8] https://doshisha.repo.nii.ac.jp/record/22949/files/034064020001.pdf



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