トーマス・カーライル(Thomas Carlyle、1795年 – 1881年)の『英雄崇拝論』(On Heroes, Hero-Worship, & the Heroic in History)は、1841年に出版された著作で、1840年に行われた6回の講義をまとめたものです。この本は、歴史における英雄の重要性と、英雄崇拝の意義について論じています[1][3]。
カーライルは、「世界の歴史は偉大な人物の伝記に過ぎない」と述べ、英雄が個人の属性と神の霊感の両方を通じて歴史を形成するという信念を示しています[2]。彼は、歴史は「英雄」の決断、作品、思想、人物に左右されていると捉え、6つのタイプの英雄について詳細な分析を行っています[2]:
- 神としての英雄(例:オーディン)
- 預言者としての英雄(例:ムハンマド)
- 詩人としての英雄(例:シェイクスピア)
- 司祭としての英雄(例:マルティン・ルター)
- 文人としての英雄(例:ルソー)
- 王としての英雄(例:ナポレオン)
カーライルは、英雄を生まれながらにして権威と権力を持つリーダーとして理想的な特性や属性を持っていた人物と考えています[2]。彼は、英雄が優れた知性、英雄的勇気、並外れた指導力、神の霊感などの生まれ持った特性によって、歴史に決定的な影響を与えたと主張しています[2]。
『英雄崇拝論』では、英雄崇拝が単なる偶像崇拝ではなく、真の英雄の本質を理解し、その価値を認識することの重要性が強調されています[1]。カーライルは、英雄崇拝を通じて、人々が自身の英雄的側面を発見し、成長する機会を得られると考えました[2]。
この著作は、19世紀の歴史学において大きな影響を与え、「偉人理論」(Great Man Theory)の基礎となりました[3]。しかし、この理論は後に批判され、歴史は個人の行動だけでなく、社会的、経済的、文化的要因によっても形成されるという見方が主流となっています[4]。
『英雄崇拝論』は、出版当時から知識人や一般読者に大きな影響を与え、長く読み継がれてきました[3]。ヘンリー・デイヴィッド・ソローやフリードリヒ・ニーチェなど、多くの思想家がこの著作から影響を受けています[3]。
日本では、明治時代以降、『英雄崇拝論』の翻訳が複数出版され、山路愛山、内村鑑三、新渡戸稲造などの思想家に影響を与えました[6]。特に、近代日本の形成期において、カーライルの英雄観は指導者の役割や国家の発展に関する議論に大きな影響を与えました[6]。
現代では、カーライルの英雄観は時代遅れとされる一方で、リーダーシップや歴史の動因に関する議論において、依然として重要な参照点となっています[6]。『英雄崇拝論』は、歴史における個人の役割と、社会の発展における指導者の重要性について考察する上で、今なお価値ある著作として評価されています。
Citations:
[1] https://www.enotes.com/topics/heroes-hero-worship-heroic-history-thomas-carlyle
[2] https://navymule9.sakura.ne.jp/Great_man_theory.html
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/On_Heroes,_Hero-Worship,_%26_the_Heroic_in_History
[4] https://www.bookey.app/book/on-heroes,-hero-worship,-and-the-heroic-in-history
[5] https://bibliophilia.hatenadiary.org/entry/20090630/p1
[6] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%AB
[7] https://classicistyasu.amebaownd.com/posts/6355916/



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