カントの「定言命法」とは

補足 倫理学・道徳

カントの「定言命法」(kategorischer Imperativ)は、倫理学における重要な概念で、無条件に従うべき道徳的原則を指します。この概念を分かりやすく説明し、具体例を挙げてみましょう。

定言命法(ていげんめいほう)の基本概念

定言命法は、「汝の意志の格率(注1)が常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ」という形で表現されます[1]。これは、自分の行動原則が普遍的な法則として成り立つかどうかを考え、それに従って行動せよという意味です。

※注1:格率(個人が自分で守ろうと決めている「規則」「掟(おきて)」「基準」のようなものをいう)

定言命法と仮言命法(かげんめいほう)の違い

  1. 定言命法:無条件の絶対的な命令(「~せよ」)
  2. 仮言命法:条件付きの命令(「もし~ならば、~せよ」)

定言命法は、結果や個人的な利益を考慮せず、普遍的に適用できる道徳的原則を求めます[2][3]。

具体例

以下に、定言命法を適用した具体例を挙げます:

  1. 嘘をつくこと
  • 格率:「自分の利益のために嘘をついてもよい」
  • 普遍化:もし全ての人がこの原則に従えば、誰も他人の言葉を信じなくなり、嘘をつくこと自体が無意味になる
  • 結論:この格率は普遍的法則として成り立たないため、嘘をつくことは道徳的に許されない
  1. 約束を守ること
  • 格率:「都合が悪くなったら約束を破ってもよい」
  • 普遍化:もし全ての人がこの原則に従えば、約束という概念自体が成り立たなくなる
  • 結論:この格率は普遍的法則として成り立たないため、約束は守るべきである
  1. 他人を助けること
  • 格率:「困っている人を見かけたら助ける」
  • 普遍化:全ての人がこの原則に従えば、互いに助け合う社会が実現する
  • 結論:この格率は普遍的法則として成り立つため、道徳的に正しい行為である

これらの例から分かるように、定言命法は個人の利益や状況に関係なく、普遍的に適用できる道徳的原則を求めています[4][5]。

定言命法の意義

カントの定言命法は、道徳的判断を個人の主観や感情から切り離し、理性的で普遍的な基準を提供しようとしています。これにより、文化や時代を超えた倫理的指針を示すことを目指しています[6][7]。

定言命法は、私たちに自分の行動原則を批判的に検討し、より広い視点から道徳的判断を行うよう促します。これは、個人の利己的な動機を超えて、社会全体の利益を考慮することにつながります。

Citations:
[1] https://www.ikuno.ed.jp/principalNote/detail/71/
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E8%A8%80%E5%91%BD%E6%B3%95
[3] https://kotento.com/2018/01/27/post-896/
[4] https://sites.google.com/site/ssugimoto02jan/research/normative_ethics/deontology
[5] https://navymule9.sakura.ne.jp/Kategorischer_Imperativ.html
[6] https://note.com/taronohitorigoto/n/nc101969268bf
[7] https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinrigakukenkyu/52/0/52_87/_pdf/-char/ja
[8] https://www.i-repository.net/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-KJ00000110877.pdf

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