シュトルム『海の彼方より・聖ユルゲンにて』について

シュトルム『海の彼方より・聖ユルゲンにて』 ドイツ文学
シュトルム『海の彼方より・聖ユルゲンにて』

テオドール・シュトルム(Hans Theodor Woldsen Storm、1817年 – 1888年)は、19世紀ドイツを代表する作家の一人で、詩的リアリズム(市民的リアリズム)の重要な担い手として知られています[2]。彼の作品の中から、『海の彼方より』(Von Jenseit des Meeres)と『聖ユルゲンにて』(In St. Jürgen)という2つの小説について、その内容をまとめました。

『海の彼方より』(Von Jenseit des Meeres)

この小説は1865年に発表されました[3]。物語の中心人物であるイエニー(Jenni)は、ドイツ人の農園主と西インド諸島出身の混血の女性との間に生まれた娘です[3]。

物語の展開は以下の通りです:

  1. イエニーはドイツで教育を受けるためにやってきます[5]。
  2. ドイツ人の青年アルフレッドと出会い、二人は愛し合うようになります[5]。
  3. イエニーは自分の出自を理由にアルフレッドの求婚を断り、母親に会うために西インド諸島のセント・クロイ島に戻ります[1]。
  4. セント・クロイ島では、現地の「黒人」の生活様式に衝撃を受け、母親から「ムラート」(混血)との結婚を強要されそうになります[1]。
  5. 危機に陥ったイエニーは、アルフレッドに助けを求める手紙を送ります[1]。
  6. アルフレッドはすでにイエニーの状況を察知し、彼女のもとに向かっていました[1]。
  7. セント・クロイ島に到着したアルフレッドは、クリスチャンスタッドでイエニーと結婚し、彼女の「救済者」となります[1]。

この作品では、人種間の結婚や異文化の問題が扱われています。イエニーの指の爪の根元にある青黒い三日月形の跡が、彼女の母方の遺伝を象徴する重要な要素となっています[3]。シュトルムは、この作品を通じて人種思想とリベラルな人間主義の調和を試みていると解釈されています[3]。

『聖ユルゲンにて』(In St. Jürgen)

この作品は、諦観と儚さに満ちた物語として知られています[5]。物語の展開は以下の通りです:

  1. 若い頃に愛し合っていたアグネスと青年ハレは、結婚を約束しながらも離れ離れになります[5]。
  2. アグネスはずっとハレの帰りを待ち続けますが、時だけが過ぎていきます[5]。
  3. ようやくハレが帰郷し、アグネスを訪ねますが、アグネスはすでにこの世の人ではありませんでした[5]。

この作品では、人間の意思ではどうにもならない運命に翻弄される人生の儚さが描かれています[5]。人は自分の意思では制御できない出来事によって人生が決定され、それを受け入れざるを得ないという寂しさが表現されています[5]。

作品の冒頭と最後にはリュッケルトの詩が使用されており、諦念と儚さの感情を強調しています[5]。

両作品とも、シュトルムの後期の作風を反映しており、現実を直視する眼差しが強まっています[9]。『海の彼方より』では人種や文化の問題、『聖ユルゲンにて』では人生の儚さと運命という、ままならない人生に葛藤する人間の姿が描かれています[9]。

シュトルムの作品は、日常生活の肯定的な価値を描くことを目指したドイツの詩的リアリズムを代表するものとして評価されています[10]。彼の小説は、心理的洞察、リアリズム、そして階級の緊張、社会問題、宗教的偏狭さなどのテーマを扱い、人間の孤独と運命との闘いという彼の繰り返し現れる関心を表現しています[10]。

これらの作品は、シュトルムの文学的成熟を示すものであり、ドイツ文学において重要な位置を占めています。

Citations:
[1] https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/kotoba03/takeharu.pdf
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%A0
[3] https://boris.unibe.ch/152424/1/_Die_Hand_einer_Farbigen__Theodor_Storms_Von_Jenseit_des_Meeres_im_literatur-_und_diskursgeschichtlichen_Kontext.pdf
[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Theodor_Storm
[5] https://www.fukkan.com/fk/VoteComment?no=13279
[6] https://hokurikugakuin.repo.nii.ac.jp/record/743/files/20-08%20%E7%94%B0%E4%B8%AD.pdf
[7] https://www.studysmarter.de/schule/deutsch/dichter-und-denker/theodor-storm/
[8] https://de.wikipedia.org/wiki/Theodor_Storm
[9] https://www.iwanami.co.jp/book/b247719.html
[10] https://www.britannica.com/biography/Theodor-Woldsen-Storm

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